
被害金・債権回収の手順
詐欺被害金,貸付金,売掛金など,債権回収は,相手から無理矢理取り上げるなど強引な取り立ては法律に触れますので,結局のところ相手の自発的な意思によってなされることになります。しかし,貸付金を踏み倒したり,詐欺を行う輩が,自らの意志で返金に応じることはありません。
仮に詐欺加害者や債務者の居場所を特定したところで,全額回収できるまで24時間監視することは不可能なので,再び行方をくらますことになります。
したがって,ターゲットの所在特定をしても,被害金の回収に結びつくことはありません。
このような者に対しては,強制的に資産を没収する法的手続き,即ち差し押さえによる回収が有効となります。差し押さえは裁判所に申し立てますが,裁判所が相手の資産を調べて差し押さえてくれるわけではありません。
つまり,債権回収は,相手の資産を特定することから始まります。
なお債権回収の手順は以下のとおりになります。
■STEP1【身元特定調査】
固定電話,携帯電話,預金口座情報などから債務者(加害者),及びその共犯者の氏名,住所を特定します。
(住所と実際の居所ではなく,住民票上の住所地です。)
■STEP2【資産調査】
特定した加害者の保有する預金口座,不動産,給与,その他差押可能な資産を調査します。
■STEP3【仮差押】
資産を特定したら仮差押により資産を一時的に凍結します。これにより加害者は預金を引き出すことができなくなります。不動産,自動車などは所有権移転ができなくなります。しかし,この時点では加害者の資産を一時的に凍結しただけになります。
■STEP4【示談交渉,または法的措置】
当事者同士による話し合い,または支払督促,訴訟手続きにより勝訴判決を取得します。一般的には,詐欺事案の場合,加害者側が勝訴することはありません。勝訴したら,直ちに仮差押をかけた資産を正式に差押えて債権回収に至ります。